2009年12月16日水曜日

『不動産は値下がりする!』

ブックオフで買ったけど値段は忘れてしまった、『不動産は値下がりする! 「見極める目」が求められる時代』(江副浩正著、中公新書クラレ)を読む。


『不動産は値下がりする!』

著者は言わずと知れたリクルートの創業者。グループで不動産会社リクルートコスモスを保有していただかあって、かなり詳しい。もっともそれが原因で逮捕されてしまったが。

埋め立て、規制緩和による容積率緩和、鉄道網の発達による都心へのアクセス改善、六本木ヒルズに代表される再開発等により、不動産は増え続けている。さらに国債の乱発による信用不安が引き起こす金利上昇(不動産が購入しにくくなるので買い手がつかず下がる)、もちろん少子高齢化も影響する。ただし、全ての箇所で下がるのではなく、都心やアクセスのしやすいところは上昇する。

将来は持ち家を売って引っ越そうと思っても、上記理由から安値で売るしかない、もしくは売れないということもありうる。すなわち全ての不動産が資産になるわけではないということ。ゆえに長期的に見て値下がりしそうな不動産は今のうちに処分したほうがいいし、余裕があるならば今のうちに将来、資産価値が高まる都心の不動産を購入するのも検討するとも解く。

ランダムウォーカーでもポートフォリオの10%は不動産でという記述があったが、一般人が資産の10%で都心の不動産など購入できるはずもないので、REIT(不動産投資信託)を購入すれば不動産を取得したことと同じになるのでどうだろうと思ったが、それについても言及している。REITは投資家から集めたお金と、配当を増やすためにレバレッジとして銀行からの借り入れている。金利が上昇すると借入金に対する金利も上がるだけでなく、家賃下落、空き室率上昇も引き起こすので、急激に価値が悪化する恐れがある。

サブプライム問題も日本で発生する可能性があり、フラット35などの住宅ローンは債権化され投資家に販売されており、不景気から住宅ローンが払えなくなると不良債権と化す恐れがあり、まさにアメリカと同じ状況である。

不動産について判りやすく書かれており、もし家を買うことを検討しているならば読んだほうがいいかもしれない。不動産の本というよりは、不動産から見た将来の日本だと思う。タイトルも『不動産は値下がりする!』よりも、副題の『「見極める目」が求められる時代』のほうが合っている。衝撃的なタイトルのほうが売れるからそうしたと思うが。

結局のところ、今まで新築マンションラッシュが続いたことは、すなわち中古マンションが大量に供給されるということなので安く買える可能性が高い。また、賃料も安くなるということ。エンジョイ・ヤドカリ・ライフです。もっとも家賃が払えなくなる状況に陥ったら困りますが・・・

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