2010年2月13日土曜日

『国債暴落』

図書館で借りた、『国債暴落』(高田創、住友謙一著、中公新書ラクレ)を読む。

『国債暴落』

国債を買おうと思ったわけではなく、一般会計が102兆円に対して国債発行額が52兆円という、もはや半分以上が借金でまかなうということは将来どうなってしまうのかという疑問から。

アマゾンで同様の本を探してみたが、大半が預金封鎖やら国家破綻といったヒステリックなものが多く、良書が見つからない。しかし本書は現役証券マンが書いており、冷静に分析しているように思われたので借りてみた。ただし、2001年に書かれているのでちょっと古いが。

久しぶりに大学の教科書を読んだような感覚に陥った。ちょっと難しい。結局のところ、国債以外に投資先がなく、銀行や生保が買い続ける限り暴落は発生しない。発生するときは景気が回復して国債以上に魅力的な投資先が現れたとき、すなわち国債の買い手がなくなったときに発生するだろうと予測している。そして、改善するには長期的に時間をかけるしかないらしい。なお、暴落したときにどうなるのかは書かれていない。

それにしても、当時の政府は国債発行30兆円以内と言っていたのが、いまでは44兆円以内を目標としている。そして国家予算の半分以上が借金で賄われ、景気が回復すれば税収が増えるから一時的に借金を増やしても今は景気対策が最優先とばかりにさらに借金を重ね、当時よりもさらに悪化している。

しかし、もはや景気回復などはありえないのではないだろうか。少子高齢化、中国、インドなどの新興国の台頭等を考えれば、かつての高度成長期やバブル期の再来は難しいと思う。結局のところ、ハーフエコノミーではないが不景気といっている現状が普通の状態であり、今後はさらに悪化する可能性が高い。すなわち、もはや税収がふえることはなく、さらに国債発行額が増えるであろうということ。

そうなると、やはり暴落する確率はさらに高まると思うが、では暴落したときにどうなるのかは全く判らない。銀行や証券会社が倒産するのか、預けている預金、株が紙くずになってしまうのか、そうなれば一般の会社や市民はどんな影響を受けるのか、生保も破綻するのか、韓国のようにIMFの管理下になるのか。

海外のファンドなどでは、日本国債が暴落するのは確実で、問題なのはそれがいつ発生するかと考えているらしい。そして、下がるほうにヘッジをかけつつある。個人としてできることは、海外に口座を開くというのも考えられるが、そこまで投資するだけの資産もない一市民ができることは、証券口座で海外を投資先とするファンドを購入するぐらいではないだろうか。そして、分散投資でも海外の比率を高めておく。それでも証券会社が倒産したり、それこそ預金封鎖されたときにはどうなるかわからないが。それとも財産税でもかけられてしまうのだろうか。

どう考えても予算の半分が借金で賄われているのはおかしいと思うのだが、政府もマスコミもダンマリを決め込んでいるようにしか思えない。「今のままでは駄目です、プライマリーバランス改善のために長期停滞を恐れず改革を進めます、痛みを分かち合ってください」という政党が出現してもいいとは思うが、それでは選挙で勝てないから結局ご機嫌取りのためにばら撒きをして問題の先送りというのが今の状況なのだろうか。

ちょっと暗い話でした。こういう暗さが消費を抑え、さらに景気を悪化させているのかもしれませんが・・・

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