2010年3月14日日曜日

『希望を捨てる勇気』

図書館で借りた、『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』(池田信夫著、ダイヤモンド社)を読む。

『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』

著者はアルファブロガーとしても有名。主にブログに書いてきたことをまとめたのが本書。刺激的なタイトルの通り、辛辣な意見でまとめられている。

雇用についても語られており、正社員の権利が強くなるほど企業は正社員を雇わなくなり、結果として新規採用の抑制と非正規社員に置き換えようとする。このような意見は『若者はなぜ3年で辞めるのか?』と同じだが、この状況を打開するには正社員を解雇しやすくするべきと看破している。従業員を解雇しやすいアメリカと労働者の権利が強いフランスを比較した場合、フランスのほうが失業率が高い。すなわち、解雇しやすいからこそ採用もしやすい。だからチャンスはある。

このような調子で全てを斬り捨てていくが、データの裏づけもあり納得させられる。例えばIMFの報告では、財政赤字を維持可能にするには基礎的収支の赤字を半減させる必要があり、控えめな目標を実現するだけでも2014年までにGDP比14.3%の債務削減が必要となる。これを消費税だけでまかなうとすると、消費税を40%にしなければならない。もしくは歳出削減だけでやるとなると一般会計歳出を8割以上カットしなければならないとしている。

しかし、消費税を2%上げただけで内閣の倒れた日本で数十%の増税や歳出削減は政治的に不可能。こうして問題を先送りしているうち、さらに悪化してしまう。唯一の解決策はインフレを起こすことだが、コントロールはできなくなりハイパーインフレになる恐れがある。

このような状況になってしまったのは政治家が悪いのではなく、そういう政治家を選ぶ有権者、将来の果実よりも今の痛みを止めてくれることを望み、結果として対処療法的で根本は何も解決されずにさらに悪化していることに気付かされる。

著者はこう締めくくる。「今の日本に足りないのは希望ではなく、変えなければ未来がないという絶望ではないか」

自分に置き換えると、若い人にチャンスを与えたいから辞めてくれと言われたら抵抗して居座り続け、その時はいいだろうが若者にチャンスがない日本は10年後に競争力をなくし没落していく。回りまわって自分にも降りかかり、10年前に辞めて転職したほうがプラスだったと気付くがもう遅い。でもそんなことはないだろうと、いま辞めないことを選んでしまう自分、とでも言うべきだろうか。

さて、どうしよう。

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