2010年4月10日土曜日

『「地球の歩き方」の歩き方』

図書館で借りた、『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社、山口さやか、山口誠著)を読む。

歩き方のオランダ・ベルギー編をアマゾンで検索していたときに、レコメンドとして表示されたのが本書を知ったきっかけ。


『「地球の歩き方」の歩き方』

当初は歩き方30周年記念の非売品として配布される予定だったが、著者が歩き方の歴史を知りたがる人は沢山いるだろうからと途中で市販化に切り替える。

歩き方の出版元のダイヤモンド・ビッグ社は学生向け就職情報誌を発行していたが、その学生達に語学旅行や自由旅行の斡旋をしていた。その説明会用に以前の参加者の文集を編纂して配ったのが、歩き方の原点。

最初はアメリカとヨーロッパ編からスタート。まずは学生が行きたいところ、創刊メンバーたちが学生に行かせたかったところを中心に地域を広げ、人気が出た後は白地図を塗りつぶすように次々と地域を広げていく。

当初は創刊メンバーが記事を書いていて、毎年長期間の取材旅行を行っていたが、地域が広がるにつれ外部ライターへ委託するようになる。しかし、いわゆる編集プロダクションではなく、創刊メンバーが旅行中に知り合ったバックパッカーをライターとして記事を書かせた。やがて彼らはそれが本業となり、独立して編集プロダクションを立ち上げ、現在に至るまで担当している人々もいるという。

そんなライターの一人が説明会で学生の質問に応える。「僕は東芝に内定していますが、インドに好きになって、帰れなくなっちゃったときは、どうしたらいいですか。(中略)」 「東芝はあなたがいなくても東芝だし、何も変わるわけじゃない。でも、あなたの旅はあなたがやらなかったら、終わらない」

当初のコンセプトは投稿を沢山載せて、それをどう選択するのは読者次第というものであったが、やがてたくさんの不確実な情報よりも、少数の確実な情報が求められるようになり、それにあわせて編集方針も変化。安宿よりも安全なホテル、屋台よりも美味しいレストランの情報を増やすなど、当初の貧乏旅行のための本というイメージから脱却すべく、内容も変化していく。

最近は旅行者の属性が多種多様なので、旅行情報を提供するには、ガイドブックの内容は平均的にならざるを得ない。そんな状況に対して創刊メンバーは言う。「旅行業界が価格競争に明け暮れて、旅心をくすぐるという、旅の出発点を置き去りにしてきたように思います。人は、たとえ値段が高くたって、行きたければ行きます。困難でも、行きたいものは行く。旅の魅力を自らの言葉で語り、それを伝えることを続けなければ、海外旅行もガイドブックも、先には進めない」

歩き方といえば、ガイドブックの代名詞のような本。しかしながら発刊の理由は知らなかったり、どんな風に作られているかも知らない。ちょっと裏側が覗けて、何故そうなっているかの理由がわかったのが面白い。少しでも地図や説明にミスがあると、「また歩き方にはやられた」と思ってしまうが、そんなの気にしないぐらいでないと旅行なんてしてはいけないのかもしれない。

というわけで、歩き方の見方(読み方?)が変わった一冊でした。

さて、ちょっとネタが尽きてきたので、しばらくの間、週一ペースの更新予定・・・

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