2011年12月4日日曜日

『資産フライト 「増税日本」から脱出する方法』

図書館で借りた、『資産フライト 「増税日本」から脱出する方法』(山田順著、文芸春秋)を読む。

『資産フライト』

富裕層に懲罰的な日本の税制、日本の将来に未来が見出せない等の理由から、資産を海外に移す人々。今までは富裕層が行う行為だったが、最近は普通のOLまでもそうしているという。その事例だけでなく、ポリシーのない政治に、富裕層に懲罰的な税制、官が民を愚民化すべく国際化に必須の英語や投資教育を放置しているといった現在の日本に対する批判的内容も盛り込まれている。

書いてあることは事実だろうし、海外の金融機関のほうが税率や相続を考慮すると有利というのはわかる。でも、資産が何十億もあるならまだしも、数千万円レベルの層で行うには時間とコストが見合わないと思ってしまう。いまならネット証券で海外ファンドが買える時代である。

もっとも日本が破綻した場合に金融封鎖が行われたときには、資産の海外移転は意味があるとは思う。そう思ったのが読んでみたきっかけなのだが。

でも、日本の英語教育がなっていないと言っても、国に何かを求めてもしょうがない(帯には「英語ができなくてもOK」と書いているのに)。そう思う人は自分で英語の勉強をすべきだと思う。

ETFに関する記述で、日本では2007年まで国内株ETFしか認めておらず、富裕層だけがそれ以前から海外金融機関を使ってETFに投資できたから富裕層だけが資産を増やせたとあるけど、そもそもETFは1990年にカナダで発売され、日本では1995年から発売している(wiki)。すなわちまだ歴史が浅く、海外で様々な指数に連動するETFが買えたから資産が増やせたというには期間が短すぎる。

懲罰的な税制だから国土計画は「こすさ」の限りを尽くして全く納税してこなかったとあるが、前半でグーグルやマイクロソフトが持ち株会社を税率の低いスイスに移したとあるのだから、日本だけが「こすい」のではないと思うのだが。

と、賛同しかねる所もあるのだが、政治、経済、財政を考えると、将来に悲観するあまりに非難したくなるのは同意してしまう。でも、もはや非難しても何も変わらないので、資産を保全する方法を考えるか(本書のテーマ)、自分に投資すべきだと思う。

資産フライトできるほどの資産がないので、まずは自分に投資するということで・・・














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