図書館で借りた、『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治、佐藤吉宗著、日本経済新聞出版社)を読む。
『スウェーデン・パラドックス』
最近、国債関連ばかり読んでいて暗い未来しか思い描けないので、その処方箋たる本はないのかと思って読んだのがこれ。
スウェーデンと言うと高福祉で有名だが、近年は経済力もあり、他国が羨むほどの高財政らしい。これは高福祉ゆえに人々が安心して働けるからと思いがちだが、実情はそうではなく高競争力があってこその高福祉という考えに基づいている。
ゆえに、働かざるものは豊かになるべからずという思想の元に、配偶者控除などは一切なく、家庭に入っている女性でも自立して生きていけるように働きやすい、というよりも働いて税金を納めないと将来の年金は少なくなるなど、働くことが前提になっている。もちろん、日本でいうところの専業主婦の第3号被保険者などというものも一切ない。
また新しい産業を興し、一方で効率の悪い産業には撤退してもらうためにも投資には寛容で、そのための税制上の優遇もある。税といえば高福祉ゆえに高税率かと思いきや、法人税は約26%(日本は約39%)と安く、付加価値税は約25%と、企業には安く、個人には高い税負担となっている。ただし、それは雇用を生み出すのは企業であり、強い経済であるためには法人税を安くして企業の競争力を高めるようにしている。
高成長は、皆が勤労であること、勤労できるようにするために働きやすい環境を作ること、働く者と働きやすい環境を作る企業には税の優遇があること、その結果として高福祉が実現できていると感じた。
このような政策は一朝一夕で出来たものではなく、何十年も試行錯誤し、不具合があれば労使協調、与野党共同で改良改善をしてきた結果だと思う。
これが日本に適用できるかというと、スウェーデンの人口が約900万人と1/10以下ということを考慮しても、やはり出来ないのではないだろうか。政治家よりも有権者が痛みを伴う改革には賛同しないだろうから。
スウェーデンが羨ましいと思いつつ、やっぱり日本の将来は暗いなと感じた一冊でした。
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