『ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで』
以前からナウルには興味があったので読んでみた。ナウル共和国とは太平洋に浮かぶ小さな島国で、国土全体が鳥の糞が何万年も積み重なって出来て良質なリン鉱石となっている。かつては欧米の植民地であり、第二次世界大戦中は日本にも占領され、戦後はリン鉱石の権益を維持したいオーストラリアの支配下にあった。しかし、権益を自分達のものにして以降、リン鉱石の輸出で得られる莫大なお金を国民に振る舞い、一方でいつかは掘り尽くしてしまうのを知っていたので海外への投資に向けた。
しかし、国民は働かなくなり、海外投資も素人経営で浪費、やがてリン鉱石が尽きてお金がなくなってくると、マネーロンダリング用の銀行を認可(一時期は200行もあったらしい)、パスポートの販売などにも手を染めてしまい、国際社会から信頼されなくなってしまう。もちろん政治も混迷しており、22年間に23人の大統領が登場。まるで日本みたいな状況。
それでも国民は未だにお金持ちであり、かつての大金を預けているナウル銀行の口座は利用可能で、預金額も記録されている。ただ銀行にお金がないから引き出せないだけらしい。今では夕食のために魚で釣りをしたり、物々交換をしているという。
経済的に破綻した国というのは知っていたが、単に紀行文のつもりで読んでみた。しかし、いつもの国債関連ではないが、まるで将来の日本を見ているような錯覚に陥った。
最後に著者と訳者が対談しているのだが、訳者も同じような感想を持ったらしく、『日本、荒廃した島-資本主義文明がいかにして世界一裕福な国を破綻させたか』という本を書くことになるのではと警鐘を鳴らしている。
という暗いネタになってしまったけど、いつかは行ってみたい・・・
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