『国家債務危機 ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』
アマゾンのレコメンドが読むきっかけだったが、本著を読むまではジャック・アタリについて全く知らなかった。ドイツ統一、EU成立の影の立役者と言われているそうである。
前半は公的債務の歴史を述べている。覇権国(債権者)は必ず財政破綻に陥り、そして債務国からお金を借りることになる。これらは歴史が物語っており、古代ギリシャからローマ、フランス、イギリス、アメリカ、日本、そしてこれからは新興国(中国)へとヘゲモニーは移りつつある。
確かに、かつてはヨーロッパが世界の中心であったが、第一次世界大戦以降は植民地であったアメリカからお金を借りるようになり、そのアメリカも米国債は日本が買い支えており、そして今では中国が日本経済を支えているわけだから、正しいのかもしれない。
西側諸国全体が破産するというシナリオは十分有り得るとのことで、ならば円が破綻しても海外分散投資をしていれば大丈夫と思っていたがそうではないようである。困った。
最悪のシナリオとしては、ユーロが破綻し(2011年末にギリシャは1500億ユーロを必要としているが、今は200億ユーロの融資にも躊躇している状態)、連鎖してドルが破綻、そして世界的不況からアジア(中国)が失速するというもの。
しかしながら、大変困難なことではあるが今から対処すればこれらは回避出来て、そのためには世界単一銀行的なものが創設されることになるだろうとしている・・・
破綻するとどうなるかは、今まで読んだ国債系の本の中では『ジャパン・ショック』が一番近い内容かと思う。
ゴールドマンサックスの将来予想でも世界経済は先進国から新興国へとパラダイムシフトしているとし、モーニングスター社代表も個人資産のポートフォリオは海外資産と金投資で、海外株:海外債券:金は6:3:1、それぞれの先進国:新興国比率は1:1と提唱している。その根拠として、円資産は預貯金、保険、年金で持っているから円に投資する必要はなく、またこれからは新興国の時代という事で先進国と新興国の比率を1:1としている。確かに本著を読めば、そのポートフォリオも納得できてしまう。
またしても暗い内容であったが、サルコジ大統領は著者に影響を受けて、”21世紀フランス”を変革するための戦略づくりをジャック・アタリに依頼して諮問委員会を組織し、本著もその提言がベースになっている。そして316の政策提言のうち、2/3は完全、あるいは部分的に実行に移されたとのことで、出来るかどうかわからないけどそれでも前進しようとするフランスは素晴らしいと思う。ちなみにジャック・アタリは、サルコジには助言するが彼には投票しないと公言しているそうである。
結局のところ、資産を分散投資してもどうなるかわからず、ならば資産の分散だけでなく使い方の分散も必要なのかもしれない。例えば、「今の生活維持(家賃・食費・光熱費等):自分への投資(スキルアップ):趣味への投資(海外旅行):将来の蓄え(資産運用)=1:1:1:1」など。
将来が不安で大半を貯蓄しても西側諸国全体が破産するようなことになれば意味がなく、使っておけばよかったと思うだろう。しかし本当に破綻するかどうかはわからず、もし全て浪費してしまったけど破綻しなかったならば貯蓄しておけばよかったと思うはず。ということは、どうなったとしても満足できるような生活、および消費をすべきであり、それは、長期、分散、低コスト(贅沢は良いけど無駄は駄目)という、投資の基本と同じではないだろうか。
と、支離滅裂な感想でしたが、やはり将来はどうなってしまうんだろうと思いつつも、今を楽しく生きることも大切。これからも機内食の写真とマイルを貯めることを疎かにしないように思います。
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