2012年1月14日土曜日

『昭和16年夏の敗戦』

図書館で借りた、『日本人はなぜ戦争をしたのか 昭和16年夏の敗戦(日本の近代 猪瀬直樹著作集8)』(猪瀬直樹著、小学館)を読む。

『昭和16年夏の敗戦』

元は1983年に文芸春秋から発売されており、今回は2002年に発売された著作集に収められているものを読んでみた。

そもそも読んでみようと思ったきっかけは、数年前に石破元防衛大臣がシビリアンコントロールが如何に重要なことかの例として国会で取り上げたことがあり、その時から興味を持っていた。

内容は、昭和16年に各省庁の若手エリートを集めた総力戦研究所を設立。アメリカと戦争した場合のシミュレーションをしてみたが、結論は敗戦しか出てこない。東条英機も負けることはわかっていた節がある。しかし、陸軍相のときには開戦を主張していた東條だが、首相になってからは開戦したくない天皇の意向に従おうと苦悶するが、政治と統帥権が分離していた旧憲法下では軍部を抑えることが出来ず戦争へと突き進んでしまう。

内容は想像通りだった。しかし、それでも何故この時期にこれを読んだかというと、東日本大震災を「第二の敗戦」と言っている人・メディアがいるが、それに対して違和感を感じていることが大きい。震災は戦争ではないし、ましてや敗れていない。しかし、このままの状況が続けば本当に「敗戦」と同じ状況になってしまうのではないだろうか。そして敗れた時に、あの時(2011年)が全ての始まりだったのではないだろうかと振り返る時が来るのではないだろうか。それは状況は違えど昭和16年と同じ歴史を繰り返しているのではないだろうか。そんな思いで読んでみた。

本著は著作集ゆえに書評、解題も収められており、その中に若田部晶澄氏(早稲田大学助教授)の「敗戦を繰り返さないために」があった。内容は自分が思っていたことと全く同じであった。2002年に書かれた解題なので震災ではないが、デフレ不況に対する政府の無策について取り上げている。

そして平成14年日本は再び歴史の大きな決断のふちにある。経済の低迷は十年以上に及び、「大恐慌」ならぬ、「大停滞」という言葉すら使われている。この危機のさなか、経済政策は迷走を極めている。(中略)。猪瀬氏が見事に喝破したように、先の敗戦の実態は「自滅」であった。この教訓を生かして平成14年の敗戦を迎えないために何をすべきか。本当に構造改革が必要なのは何か。

日本が第二の敗戦を迎えないために何をすべきか、自分なりに考えてみたい。




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