そもそも本書を知ったのは、『破天荒!』の巻末の広告で紹介されていたから。アマゾンのレビューでも高評価で、内容も倒産寸前のコンチネンタル航空を転職してきたCEOが立て直すというもの。
『大逆転!-コンチネンタル航空 奇跡の復活』
『破天荒!』のサウスウェスト航空は創業当初から家族的経営で、和気藹々と成長した会社。こういう会社であれば風通しも良く、やる気も出るだろうし楽しく過ごせるだろう。でも、世の中のほとんどの会社はそうではなく、惰性で動いてしまっていると思う。そういう会社を良くするにはどうすればいいのだろうか?
本書の著者でありコンチネンタル航空のCEOであるゴードン・ベスーンは、過去10年間に9人のCEOが交代したコンチネンタル航空にCOOとして入社。いつ倒産してもおかしくない会社だったが、数年で見事に立て直す。彼がやったことは下記の通り。
エアライン本来の仕事をする
お客様が航空会社に一番期待するのは定時運航率が高いこと。運航率を上げるために、何が原因で、どう改善すればよいのかを考えた。そして運輸省が発表する定時運航率ランキングで上位5社以内に入れば65ドルのボーナスを全社員に配った。なぜ65ドルにしたかは、65ドル×従業員数4万人=約250万ドルとなるが、遅延したときのコストが月に約500万ドルに達していたので、もしこれが解消できれば250万ドル払っても、250万ドル浮くということから。
出血を止める
毎日幾らのお金が入って、そして何に対して出て行くのかが以前はわからなかった。財務システムを作り直して、何が儲かって何が損をしているのかを即座にわかるようにした。
最高の商品を提供する
運賃を下げればお客様が増えるわけではなく、人々が求めるものを提供するようにする。マイレージ・サービス、ファーストクラスの復活、多くのチケットを売ってくれる旅行代理店にきちんとした対価を払うなど。
力をあわせる
定時運航率改善によるボーナスは現場だけでなく、経理や総務などの全てのスタッフに支給される。全員が自分の責任を果たさなければ全体の機能に支障が出ることを従業員に理解させる。すなわちチームが勝てば、敗者はいない。
情報は全て開示する、そして実行する
会社がどういう状態なのか、いま何をしているのかを全て従業員に伝える。社内の掲示板だけでなくエレベーターの前に電光掲示板を設置して常に会社の情報を流す。そして経営陣は言ったことは全て実行する。従業員に知らないことはなく、経営陣も信頼される。
測定すれば管理できる
目標が何であるか、その達成度をどうやって測定するか、達成したときはどういうご褒美が出るかを全員が知っているようにする。そうすれば、何をすればいいのか、どういうことをすれば評価されるかがわかるので、ゴマスリなどしなくなる。
一読すると当たり前のようなことばかりだが、それを実践するトップはあまりいない。『破天荒!』に、サウスウェスト航空のような仕事の仕方をまずは自分からしよう、もしそれが受け入れられないような会社なら外に出るチャンスと思えというようなことが書かれていた。下の人間が会社を変えようと思っても排除されてしまうだけなので、やはりトップダウンで変革するしかないと思う。
と、他力本願なことを思ってしまったが、コンチネンタル航空を立て直していく過程は面白い。ただし、後半は説教臭くなっているが。
ところで、ゴードン・ベスーンの片腕として日本人の鶴田国昭氏が名前だけ登場する。Amazonで調べてみると、『サムライ、米国大企業を立て直す!!』という本を書いているではないか。というわけで、近日中に読んでみようと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿