2010年2月9日火曜日

『世界最速のF1タイヤ』

ブックオフで350円買った、『世界最速のF1タイヤ-ブリヂストン・エンジニアの闘い』(浜島裕英著、新潮新書)を読む

『世界最速のF1タイヤ-ブリヂストン・エンジニアの闘い』

著者は現役のブリヂストン・モータスポーツタイヤ開発室長。現場の生の意見(かなり抑えていると思うが)が窺えて面白い。

F1のスピードアップには、ガソリン、エンジン、タイヤの三要素があり、ガソリンは成分規制があるのでメーカーによって差はほとんどなく、エンジンは技術力の差が縮まりエンジンでタイムを1.5秒縮めるのは至難の業らしい。残るタイヤは唯一地面に接しているのでラップタイムに大きく影響を与える。ゆえに開発競争は激しい。

天候によってタイヤを変えるだけでなく、コースによってもタイヤの作りを変え、1レースに1400本も持ち込み、全てのタイヤにはID番号が振られ、捨てるときは裁断。そのぐらいコストと機密情報が詰まっているらしい。また、シューマッハは何週目のカーブ時にタイヤの感覚がどんなであったかを全て言えるなど、さすが天才といわれるだけのエピソードも面白い。

タイヤ供給が一社独占ではやりがいに欠け、ミシュランなどのライバルがいるからこそ技術進歩が進む、多大なコストをかけてまで参入するのはブランドイメージを高めること、結果として市場シェアを伸ばせなければ意味がないなど、企業人としての一面も忘れていない。

商社マンではないが世界を駆け巡る姿はサラリーマンとして羨ましい。最近のニュースでブリヂストンはF1から撤退するとあったが、他社がF1でブランドイメージを上げてくれば、巻き返しを図って再び参入すると思う。というわけで、将来に期待。

0 件のコメント: