2011年3月10日木曜日

『ジャパン・ショック』

図書館で借りた、『ジャパン・ショック -国債暴落から始まる世界恐慌』(山崎養世、祥伝社)を読む。

『ジャパン・ショック』

著者は元ゴールドマン・サックス投信の社長であり、高速道路無料化の提言により民主党次の内閣国土交通大臣にも指名されたことがある。

言うまでもなく財政危機は末期的であり、国債は新規で年間40兆円、借換債等を含めると160兆円発行されている。もはやこれ以上買い支えるのは困難であり、向こう三年以内に国家破綻すると予想している。

冒頭に国家破綻への道のりがシミュレーションされているが、国債の入札が不落(買い手がつかない)となったことから国債価格が暴落、取り付け騒ぎ、日本が保有するアメリカ国債を売却しようとしたことからアメリカ国債も暴落、釣られてユーロ国債も暴落、世界的ハイパーインフレ、物不足、暴動、世界同時多発動乱、食料とエネルギーを確保できない東京は崩壊、最後に沖縄は中国の一部になって終了という過激なシナリオ。

ここまで極端なシミュレーションも如何かと思うが、ギリシャの13倍の経済規模を持つ日本が危機に陥れば、ギリシャショックなど比較にならない危機になるだろうし、IMFや他の国が協調融資をして支えることも出来ないだろうと思う。また、他の日本破綻本にはなかったアメリカや他国への連鎖的危機についての考察は納得できる。

国債がここまで大量発行できたのは、BIS規制により自己資本比率8%以上、そして企業への貸付、株、不動産はリスク100%と見なす一方で、33ヶ国の国債はリスクゼロということで銀行にとってもBIS規制を遵守するために国債を購入することは必然になってしまったとしている。皮肉なことに33ヶ国の中にギリシャも含まれているが。

また、以前は金利は5~6%が普通であったが、バブル崩壊後ゼロ金利となったため、借金をしても金利が低いので利払いが安価に済んでいることも挙げている。ゆえに財政改革をするよりも取り敢えず国債を発行して穴埋めをしたほうが楽となってしまう。借金をするのも悪いが、それに金を貸すほうも悪いという、まるでサラ金のような状態だと思う。

このような危機から逃れる方法として著者は、為替が強くなる国の低リスク資産に移す、金を買う、商品を買う、国債で相場を張る4つを挙げている。ただ、低リスク資産に移すとか商品相場でコモディティを買うことを薦められても、世界同時多発動乱が起きるぐらいの予想をしているのだから取引所も崩壊していると思うのは気のせいだろうか。

いずれにせよ、国債が一度暴落すると歯止めが利かなくなり、さらに日本だけでなく世界的な危機に繋がることは理解できた。

最近、国債関連の本ばっかり読んでる・・・



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