2010年3月5日金曜日

『アラブの大富豪』

ブックオフで350円で買った、『アラブの大富豪』(前田高行著、新潮新書)を読む。

『アラブの大富豪』

サウジアラビア王家には約1万人の王子がいるとか、911テロ以降、アメリカが中東から離れつつあることから武器を中東に販売しなくなり、そこにイギリスとフランスが食い込んでいること。また、投資先としてアメリカの魅力が薄れ、アラブがアメリカから資金を引き上げつつあるときに、ドバイが投資先として受け皿になったのであのようなドバイバブルが発生したことなどが書かれている。2008年2月に発行されたものなので、ドバイのCEOは世界一多忙となっているが、今はどうなんだろうか。きっと借金棒引きのために多忙であることは間違いないと思うけど。

かつてはカジノや競走馬に浪費しているというイメージであったが、今は投資にまわして先進国の一流企業や不動産を購入しているファンドの様相を呈している。やはり石油という現物があることは強いと思う。ただし、石油(ガス)の恩恵に授かれるのはサウジ、アブダビ(UAE)、カタール、クウェートだけであり、ヨルダンなどは彼らから如何に援助してもらうかに専念しているらしいが。

前回はイスラムの歴史を知ったが、今回は現代イスラム社会、中東経済を知ることができた。次はごく普通の市民がどうやって暮らしているのかを知れればと思う。

というのが読書感想文だが、あとがきに刺激的な一文が。本書はブログが発端で書籍化されている。著者は石油開発会社に30年近く勤務し、退職後の2005年1月から「アラビア半島定点観測」というブログを開設。「前回見た時と内容が変わっていないブログは二度とアクセスする気になれない」という経験則から毎日更新。そして石油価格上昇とオイル・マネーが脚光を浴びたことによりアクセス数の上昇と、雑誌の特集記事の取材を受け、それがきっかけで新潮社から出版の誘いを受けたとのこと。67歳でもアクティブに活動しているのは素晴らしい。目的を失ってしまう定年後のサラリーマンが多いが、「団塊の世代がリタイアすればその波に呑まれてしまう。だからそれまでに自分の立ち位置を確かめておきたい」という動機からブログを開設。サラリーマンの鏡です。

というわけで、内容よりも動機に勇気付けられた一冊でした。

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