図書館で借りた、『ザ・トヨタウェイ』(ジェフリー・K・ライカー著、稲垣公夫訳、日経BP社)を読む。
『ザ・トヨタウェイ』
広州出張のときに利用したANAの機内プログラムで飛行機の裏側を紹介するシリーズがあり、ボーイングの生産現場でトヨタ生産システムを取り入れたら生産性が大幅に改善されたと紹介されていたので、それに興味を持ち今回読んでみた。
誰でも「カイゼン」「カンバン」「アンドン」という言葉は知っていると思うが、それ以外にも「一個流し」「平準化」など、トヨタで使われている各手法が体系付けられて解説されており、非常にわかりやすい。外国人が書いたものとは思えないほど詳しく、そして英語で書かれたことを意識させないほど翻訳も素晴らしい。
上下巻とボリュームある内容だが、上巻は各手法を、下巻は主に思想を説明している。トヨタ生産システム(TPS)といえば各手法の集合体と思われがちだが、手法はあくまで手段であって、考え続ける組織を作ることが目標であることが理解できる。
ただ、「根回し」をコンセンサスを得るために重要と見做すなど、トヨタのやることを過度に礼賛しているかのような部分もある。日本の製造現場のほとんどがTPSを取り入れていると思うので、メーカーで日々TPSに取り組んでいる人に実際のところを聞いてみたくもなった。
ところで、本書が書かれた背景も凄い。
「本書は20年以上にわたるトヨタ研究の賜物である。この研究の大半は、現在、私が所長をしているミシガン大学アンアーバー校のジャパン・テクノロジーマネジメントプログラムの活動として行われた。このプログラムは、1991年に米空軍科学研究局(AFOSR)からの多額の補助金を得てはじめることができた。これはそもそもニューメキシコ州選出のジェフ・ビンガマン上院議員のビジョンがきっかけだった。ビンガマン議員は、日本から学び、技術系の学生を企業実習生として日本に送り込み、学んだことを米国の企業に伝えるための大学のプログラムに補助金が配分されるよう、背後で応援してくれた」
これを日本に置き換えるならば、「自民党のA議員のビジョンを基に航空自衛隊から多額の補助金を得る」ということと同じである。今の日本でこのようなことは出来るはずもなく、それが出来てしまうアメリカはやはり凄いとしか言いようがない。
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