以前読んだ、『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社)の続編、『3年で辞めた若者はどこへいったのか アウトサイダーの時代』(城繁幸、筑摩書房)を読む。ところで、なぜか出版元は光文社から筑摩書房へと移っている。
『3年で辞めた若者はどこへいったのか』
前作ではなぜ若者が3年で会社を辞めてしまうかを不条理な現実に照らし合わせて説明していたが、本作では辞めた若者と、辞めなかったかつての若者がいま何をしているのか20近い例で解説している。
流通企業から生保会社へ、東大から仏門へ、大企業からバーテンダーへと、今までの価値観から言えば脱線した「辞めた若者」もいれば、東大から日系生保へ入社したが気が付いたらその会社でしか使えなくなっていた「辞めなかったかつての若者」もいて、人それぞれの人生が浮かび上がってくる。
本作はまだ景気が良かった2008年3月に出版されたので、それを表すようなインタビューもある。外資系投資銀行で働く28歳は、「もし明日解雇されたとしても、私には来週から別の投資ファンドで働ける自信がありますから。キャリアというのは、本来そういうものだと思いますよ」と応えているが、いま何をしているのだろうか。
生き方は色々あり、どれが勝ちでどれが負けというものはない。社会は変化し、個人の価値観も多様化し、それにあわせて会社も変化しなければならない。それを会社は受け入れなければならないし、会社とは人の集合体でしかないのだから、まずは個人が気が付かなければならということなのだろうか。
さて、本書はいつものようにBOOK・OFFで購入したが、挟まれていたしおりはPHP文庫のものであった。そこには松下幸之助の言葉として、「道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる」とあった。
確かに真理である。信じて一途に進むのは素晴らしい。しかし、進んでいる途中で環境が変化して道がなくなってしまうのが現代社会とも言える。どのように解釈してよいのか、ちょっと悩んだ。松下幸之助が生きていたら今の社会をどう思っていたのだろうか。脱線したが、それが本書の感想。
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