2009年4月22日水曜日

『ブックオフの真実 坂本孝ブックオフ社長、語る』

アマゾン、楽天、ブックオフなど、普段使っているサービスに関する本を読んで、理解を深めることにしてみた。まずはブックオフから。『ブックオフの真実 坂本孝ブックオフ社長、語る』(坂本孝・松本和那・村野まさのり編著、日経BP社)を読む。

『ブックオフの真実』

BOOK・OFFは海外出張前にいつもお世話になっている。無くしても気にならないし、重くなったら捨てることも可能(捨てたことはないけど)。でも、こういうきっかけでも作らなければ、いつもなら読まないタイプの本。とはいいつつ、これだけの一大新古書チェーンを作り上げたからには何らかエッセンスがあるに違いないと読んでみた。

まずはマツモトキヨシ社長との対談から始まる(マツキヨも普段利用しているお店のひとつなので、この一冊で目的がダブルで達成されたことになる)。ブックオフを創業した当初、マツキヨを参考にして店作りをしている。他店、しかも書店以外のお店を真似ることで、お客が入りやすい店作りをしていることが理解できる。通常であれば新刊書店を参考にしそうだが、本を売ることを考えるのではなく、お客が集まるにはどうすればいいのかを考えているからだろう。

当初は品揃えを充実させようとしたが結局は欲しい本が集まらなかったため、その店で買い取った本だけを販売することを基本としている。しかし品揃えを断念する代わり、価格戦略で魅力を付加している。それは定価の一割で買取り、半額で販売する、そして売れない本は100円で売るというものである。また返品が出来ないので、同じタイトルの本が5冊超えたら需要と供給のバランスが崩れているとして、100円にすることにしている。これを著者は、マーチャンダイジングはお客さんがやってくれると述べている。さらに、この値決め方法はアルバイトでもできるため、特別な技量や経験を必要としない。

その店で仕入れたものを売るということについては都心の五反田を例に挙げ、五反田はビジネスマンが多く(五反田の駅前の店は銀行の跡)、そういう場所では持ち込まれる本も売れる本もたいてい同じ。ということは、そのエリアのお客さんが持ち込んだ本が一番の売れ筋としている。

新刊書店については、再販売価格維持法によって価格を決めるということを考えないから弱体化するだけだと手厳しい。また、ブックオフに並んでいる本は、お客さんが欲しくて一度買った本、すなわち「売れ筋」ということであり、一方、新刊書店には売れるかどうか判らないものまで並び、最後は返品の山になっていると指摘している。

一方で、「中古がマーケットの底辺を広げ、新品がマーケットの高さを作る。そうすることで、三角形の面積が広がる。新品と中古はどの商品でも補完関係にあるはずだ」と、新刊あっての古本を理解しており、両者が儲かる仕組みについて考えを述べている。

本書は新古書店について語っているが、中古ビジネスとして捉えれば様々な業種にも応用できると思った。惜しむべくは、創業者がセクハラ、不正経理が原因で退任していること。もっとも、そもそも創業者の色があまり出ていないと思うので、今後も拡大し続けていくであろう。

というわけで、次も海外出張前に買いに行きたいと思います。

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