2009年5月3日日曜日

『ヤフー・ジャパンはなぜトップを走り続けるのか』

普段使っているサービスに関する本を読むシリーズ五冊目、『ヤフー・ジャパンはなぜトップを走り続けるのか』(吉村克己著、ソフトバンククリエイティブ)を読む。

『ヤフー・ジャパンはなぜトップを走り続けるのか』

ブックオフ、アマゾン、楽天についてはお金を払っているが、ヤフーには払っていないし、検索はグーグルを使っている。ヤフーは単にwebのスタートページに指定しているだけ。日テレ、TBS、フジでもなんでもいいけど、とりあえずTVを見ているのと同じ感覚と言えるかもしれない。そのYahooも1996年から日本でサービスを開始して、十年以上が経つ。あまりにも身近な存在になりすぎて、もう何十年も使っている気にさせられる。

井上社長と幹部社員のインタビューを中心に、各サービスの概要と、その生い立ちが語られる。インターネットサービスの元祖とも言える会社なので、広告収入が一番多いのは当然として、次の収益源が有料会員からの会費関連収入というのは意外であった。これはヤフーオークションに参加するためには会員にならなければならず、この会費と手数料が大きな稼ぎ柱となっている。

ヤフーの利用者は、2005年のデータでは男女比は男性49%、女性51%、年齢は35~44歳が24%、次いで30~34歳が19%と30代が多い。少し前までネットを使う人は男性若者、そしてオタクというイメージがあったが、いまではどれも違う。また、若者は携帯を利用してネット接続しているので、直近のデータではさらに年齢層は上がっているのではないだろうか。

ヤフーのポリシーとして、「嫌われない哲学」がある。老若男女問わず利用されるように、特定の層に偏らない編集を心がけている。これはシステムについても同じであり、ほとんど誰も使っていないブラウザでもそのシェアが1%を切るまではサポートし続ける。すなわち新しい技術が使えないことになるが、それよりも誰にでも好かれることがヤフーのサイトに訪れてもらうための秘訣となっている。

後半では大企業病に罹りつつあるYahooの問題点を指摘している。オークション以外は二番手で、ショッピングは楽天、SNSはミクシィと各分野で負けている。さらに、新サービスでも昔であればとりあえず試してみるということが出来たが、ヤフーの社会的地位が高くなるほど冒険が難しくなっている。また、中堅社員と若手社員との意識のギャップや、ベンチャー気質が無くなりつつあるなど、内部にも問題がある。

ただ利用者としては、全てのサービスは満点ではないが、それぞれの完成度は高いのでポータルとしての地位は不動ではないかと思う。目的を持ってネットを利用するときはその分野のトップ企業を訪れるが、とりあえず何となく見ているだけというニーズは絶対になくならないと思う。そのときに利用したいのは、全てが満点でなくても80点は維持しているサイト、それがヤフーではないだろうか。

とういわけで、このシリーズはこれで終了。水道、ガス、電気も普段使っているけど、あまりに当たり前すぎるので、これらについては読む予定はなしです。

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