2009年11月22日日曜日

『キヤノン特許部隊』

ブックオフで350円で買った、『キヤノン特許部隊』(丸島儀一著、光文社)を読む。

『キヤノン特許部隊』

カメラ専業メーカーだったキヤノンで、事務機器事業の立ち上げ当初から特許担当として携わった著者の経験と、日本の特許政策に対する提言をまとめた、とでもいうべき一冊。

ゼロックスの独擅場であったコピー機市場に臨む箇所は読み応えがあるが、後半の日本の特許戦略についてはちょっと冗長な感じが。ただし、アメリカがなぜプロパテント政策として特許に力を入れているのかは理解できる。そして、ポリシーなき戦略は市場に混乱を招くだけで、重点的に対処すべきと説く。

ただ、特許に限らずどの分野でも先端化しつつあり、例えばオリンピックでメダルを取るために全ての選手を底上げするよりも、一部の優秀な選手を重点的に指導する方式に変わりつつあると思う。あらゆる分野がそのようになりつつある今、全てに対応することは不可能なので、国としてあるべき姿を決めて、どの分野を重点的に行えばその姿になれるのかというのを考えるべきなんだろうと思った。あるべき姿がビジョンであり、それに到達する方法が戦略とでも言うのだろうか。

ところで、キヤノンの2000年11月期の特許収入は158億円だったとのこと。単なる大企業でないことを思い知らされました。

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